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キレイな居酒屋

鶏卵を三、四個同時に電子レンジ加熱をすると、卵の爆発で電子レンジが変形することがありかなり危険です。 魚の卵も烏賊も爆発、しますので、避けて下さい。
アルミ箔を撒く、とスが立たない茶碗蒸しを作ることができますが、マグネトロンの出力が変化するとスが入りますので普通は作らない方が賢明でなお、一九九五年頃以降の電子レンジには、オーブン機能が付いたものが多いので、最近の電子レンジは加熱後すぐに蓋を取っても、料理は温さを保っています。 日本の料亭では江戸時代から、お客様出入り口のすぐ外の、玄関先軒下の一角に塩を円錐状に盛る習慣があります。
これは千客万来のおまじないです。 お客様が多数来店して、商売繁盛するように祈願する習慣です。
この習慣の起源は、中国の清の時代の怪奇小説「柳斎志異」の一話です。 神世の時代、天子には大勢の妻妾がいました。
そして、妻妾は天子の寝所の近くの一軒家にそれぞれ住んでいました。 毎夜、天子は夜伽の相手の家へ出かけるのです。
ある天子は相手選びを牛車の牛に任せていました。 牛が止まった家に入っていくことにしたのです。
その事に気づいたある女性が、牛の好物である塩を入口の先に盛り付けたのです。 牛は好物のあるその家に行き、塩をなめるために、その入口で止まるのです。
結局天子は連日その女性の元に通うことの神話に因んで、来て欲しい人が、来ることを祈念して、玄関先に盛り塩する風習が、しかし、その行動はだいたい一回かニ回で行わなくなります。 自宅の玄関の敷居は見なくても、そこに存在する段差を体で覚えます。

ドアの開閉も自然に行います。 職場の入口の段差も視します。
本で始まりました。 でもそれだけでこの風習が、日本で四百年も受け継がれて来た訳ではないようです。
おまじないだけでなく、実利があるのです。 フジテレビのプロデューサーだったH氏はオリエンタルランドの専務取締役として、東京ディズニーランドの誕生に寄与されました。
東京ディズニーランドはアメリカ式のマニュアルで事細かく園内を清掃し、美化を図っていたはずです。 しかし、丁寧な清掃にも死角がありました。
ある時H氏は、施設の入口の足下やドアの取っ手の部分が汚れていることに、気が付きました。 毎日、園内を隅なく点検して来たつもりでした。

しかし、どの施設の入口の足下も、ドアの取っ手も汚れていたのです。 清掃担当者だけでなく、H氏も毎日見落していたのです。
何故でしょう。 日本の家屋には、最初から意図して設計しない限り、入口に敷居があります。
敷居は段差が、どの入口にも有ることを意味しています。 また、初めての家屋を訪問する時は、ドアの取っ手に目をやります。
それはそのドアが引き戸なのか、押して入るドアなのか、手前に引いて開けるドアなのか、判断するためです。 ですから、来訪者は必ず、入口の段差を直視し、ドアを凝直ぐに慣れます。
東京ディズニーランドはそこで働く人にとっては職場です。 H氏を含めて、そこの従業員は施設の入口の足下やドアは、眼に映っていても、脳は認識していなかったのです。
でも、東京ディズニーランド来園者は全員汚れている入口の足下を認識していたのです。 料亭の盛り塩は、女将がする祭事です。
女将は現場の責任者です。 女将は盛り塩をする時は、必ず腰を落として行います。
和服では中腰や立ったままでは盛ることはできません。 盛り塩とは現場責任者の女将が、腰を落として玄関先の石畳を見ることです。
盛り塩をすると立っている状態よりも、玄関先の清掃状況が細かく見えるのです。 職場の出入り口の敷居付近に従業員の眼が、行きにくくなっているのを、女将が無意識に清掃状態をチエックして、玄関先が汚れていない状態に保つ効果・実利があったのです。
結果として、盛り塩をしない料亭の玄関先が薄汚れて客が離れていったのです。 レストランを含めて商店、販売所は、お客様にとって不要なものは全てゴミなのです。

ファミリーレストランの駐車場に煉瓦製花壇があります。 その花壇の砂や土が駐車場に落ちていれば、その土や砂はお客様にとって、ゴミです。
ゴミとは紙や吸い殻や落ち葉だけではないのです。 またレジスターの横に、割り勘をするお客様のために電卓があるのをみかけますが、この電卓も他のお客様から見ると不要品です。
お客様の見える所に置いておく物ではありません。 不要なものは物だけではありません。
壁や床のキズもお客様には不要な物なのです。 盛り塩はお客様に不必要なゴミをなくす効果があります。
入る時何か違和感を感じるレストランには店内にもお客様に不要な物が沢山あることが多いのです。 アメリカ型の経営方針を採用している日本の企業の中には、アメリカ式のマニュアルを活用しているところがあります。
しかし、日本ではマニュアルに対する考え方に少し偏見があると思われます。 「マニュアル通りの機械的な動作」と言うような表現です。
米語で言うマニュアルの反対語はオートメーションです。 マニュアルは「手動」でオートメーションは「自動」を意味します。
マニュアルは人間が行う行動指針書です。 「マニュアル通りの機械的な動作」とは「人間が行う機械的な動作」となり何か変です。
何故日本では行動指針書が、無味乾燥な機械的動作と表現されるようになったのでしょうか。 その一つの要因は、多民族社会の無理解にあると思います。

私は、二回のアメリカ体験で一週間ずつ同一場所に宿泊した時感じたことですが、アメリカはモザイク社会と言われるようにいくつもの異った人種、民族、宗教が同居している社会です。 当然そうした人々の価値観は全く異なっています。
このように異なった価値観の持ち主同士が穏便に生活するためにマニュァルは必要なのです。 アメリカでは色々な物や、ちょっとした仕草でも相手の尊厳を傷つける恐れが多々あるのです。
就労する時、就労させる時、相互に宗教や価値観を話し合うと大変な事になりますが、仕事の範囲、使用する道具、働く時間などをマニュアルとして整備しておけば、就労する側の者が、マニュアルを読んで、就労可能か否かを判断できるのです。 宗教観、価値観、民族習慣の摺り合わせには、事細かにマニュアルは作成する必要があるのです。
しかし、儒教圏(日本・中国・韓国・台湾など)では極端に、考え方の相違は存在していないと言って良いので、作業内容を事細かに記載する必要はなかったのです。 常識の範囲で臨機応変に作業をしても事件にはならなかったのです。
逆に常識の範囲であっても行動指針書通りに動くと機械仕掛けの人形のように、儒教圏の人たちは感じるのです。 モザイク社会では相互に合意した以外の行動を取ることは、誰かの神様を冒涜している可能性があるのです。

そのような理由で、アメリカ人は定められた仕事以外何も行わないのです。 儒教圏の中心、中国でも、アメリカ式のチェーンストア・チェーンレストランを展開しようとしています。
しかし、日本人が策定したマニュアルと同様に中国でもマニュアルは事細かくは作成されていないようです。 中国で(日本式の)ラーメンのチェーンを経営している方が、当時の通産省の招待で日本に来られ、お話をした時、「ラーメンのタレは配送しているので全店同じ味であるが、白湯(鶏ガラスープ・サュではなくスープです)とは各店で合わせているので、ラーメンのつゆの味は一定になっていない」と表現していました。


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